2016年9月21日水曜日

エレベーターとダムウェーターの違い(比較)

エレベーターとダムウェーター(正式名称:小荷物専用昇降機)は、共に建築基準法で規定されている昇降機の一種です。

昇降機は、「一定の昇降路、経路その他これに類する部分を介して、動力を用いて人又は物を建築物のある階又はある部分から他の階又はある部分へ移動・運搬のための設備」をいいます。


エレベーターとダムウェーターの大きな違いは、「かごの大きさ」と「人が乗れるかどうか」です。

それぞれの特徴を簡単にまとめると次のとおりです。

エレベーター

・かごの面積が1平方メートル超かつ高さ1.2m超
・人が乗れます。

ダムウェーター(小荷物専用昇降機)

・かごの面積が1平方メートル以下かつ高さ1.2m以下
・人は乗れません。(荷物専用)

2016年9月2日金曜日

日本一高いビル「あべのハルカス」のエレベーター まとめ

大阪市阿倍野区にある日本一高い超高層ビル「あべのハルカス(Abeno Harukas)」に設置されているエレベーターについてまとめてみました。

まず、あべのハルカスの概要は次のとおりです。
所在地 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目1番43号
施主 近畿日本鉄道株式会社
開業日 2013年6月13日に百貨店が先行開業
2014年3月7日に全面開業
地上高 300m(地上60階、地下5階)
施工 竹中工務店、奥村組、大林組、大日本土木、銭高組

続いて、エレベーターについて見ていきましょう。

・設置台数
→ 56基あります。

・メーカー別
→ 東芝エレベータ製が36基、三菱電機製が12基、フジテック製が3基、日立ビルシステム製が5基です。

スカイロビー方式
→ 地下1階から17階までシャトルエレベーターを使いノンストップで移動可能です。

・展望台用エレベーター
→ 展望台へは三菱電機製エレベーターで16階から60階まで約50秒で移動可能です。分速360mです。

2016年8月31日水曜日

【新発明】横に動くエレベーター?ティッセンクルップ「MULTI」の紹介

エレベーターといえば、よくオフィスビルやマンションで利用する上下の階に移動するための乗り物です。

そんなエレベーターの常識を打ち破る"新世代のエレベーター"がドイツの鉄鋼大手ティッセンクルップが考案した「MULTI」です。

このエレベーターの凄いところは、上下だけではなく、にも動くこと。

まずは、YouTube動画をご覧ください。

この新しいエレベーターの動力は、ワイヤーロープではなく、電磁石による"リニアモーター"。
ティッセンクルップによると、このエレベーターを採用することで、ビル設計の自由度が増し、輸送能力を最大50%拡大、エレベーターの設置床面積を最大50%削減できるようです。

ティッセンクルップのエレベーター世界シェアは、オーチス、シンドラーに続く第3位。
このエレベーターが実現し、エレベーター業界にイノベーションを起こすことができれば、一気に業界トップに躍り出る可能性があります。

現在は、エレベーターにより、ビルの外観・内装等の設計が制限されていますが、この制限がなくなれば、街の雰囲気も変わりそうですね。

今後、楽しみな技術です。

2016年7月21日木曜日

SUS304とSUS430の違い

SUS(サスまたはステン)とは、Stainless Used Steelの頭文字をとったもので、日本工業規格(JIS規格)において"ステンレス鋼"の略号として用いられています。

SUS=ステンレス鋼

SUSは、金属組織の違い、成分の違いによって、さまざまな種類に分類できます。

その内で代表的なものが、SUS300系(クロム18%以上、ニッケル8%以上)の「SUS304」とSUS400系(クロム10.5%~18%)の「SUS430」です。

SUS304とSUS430の大きな違いは、磁石にくっつくかどうかです。
SUS304 = 磁石にくっつかない(非磁性)
SUS430 = 磁石にくっつく
となります。

成分的にはニッケルが含まれているかいないかが大きな違いです。
SUS304 = ニッケルが含まれる(価格が高い)
SUS430 = ニッケルが含まれない(価格が安い)

SUS304は、比較的、単価の高いニッケルが含まれている分、価格が高くなります。また、ニッケルを含む分、SUS430と比較すると錆(さび)に強くなります。

SUS304 = 錆にとても強い
SUS430 = 錆に強い

まとめると
SUS304 = 価格が高い、錆にとても強い、ニッケルが含まれる、磁石につかない
SUS430 = 価格が安い、錆に強い、ニッケルが含まれない、磁石につく

エレベーターシャフトは容積率の対象外

平成26年6月4日の建築基準法改正により、エレベーターシャフトが容積率の対象外となりました。

エレベーターのシャフト(昇降路)とは、エレベーターのかご(荷台)が移動するための縦に長い空間です。
出典:国土交通省

エレベーターシャフトが容積率の対象外。暖和されたことで、マンションの部屋数を増やせたり、エレベーターを設置できるようになります。

ただし、建ぺい率については、変更がないため注意が必要です。

2016年4月15日金曜日

ダムウェーターの床から扉までの高さ

当社が取り扱っているダムウェーターADC型(コンパクトタイプ)の床から扉までの高さは、積載によって、次のように異なります。

・積載30/40/50kgの場合は、700mm
・積載60/80/100kgの場合は、600mm


参考までに、経済産業省が2004~2006年に調査したデータによると、
日本人の平均股下高さは、72.2~78.3cmほどのようです。

つまり、ダムウェーターADC型の扉の高さは、だいたい腰の高さぐらいと思って頂ければいいでしょう。

また、ダムウェーターの確認申請においても、床から扉(出し入れ口)の高さは重要になってきます。

大阪府の場合、「出し入れ口の下端が床面より50センチメートル未満の位置にあるもの」にダムウェーターの確認申請が義務付けられています。

※ダムウェーターの確認申請の有無については、特定行政庁によって異なります。

2016年4月14日木曜日

簡易リフトには積載荷重(積載量)を標示しなければなりません。

簡易リフトは、労働安全衛生法に基づく「簡易リフト構造規格」で積載荷重(積載量)の標示が定められています。

(積載荷重の標示)
第十九条 簡易リフトは、積載荷重が明確に標示されているものでなければならない。
出典:簡易リフトの構造規格
そのため、当社では、簡易リフトを設置したら、かご(荷台)の扉など、見える場所に積載荷重を印刷した"ステッカー" を貼っています。


2016年4月12日火曜日

ダムウェーターは、労働安全衛生法・クレーン等安全規則に適合しません。

ダムウェーター(正式名称:小荷物専用昇降機)は、建築基準法に適合した昇降機のため、労働安全衛生法およびクレーン等安全規則には、適合しません。

国土交通省ホームページに「建築基準法と労働安全衛生法の相違点」を示した表があります。
なお、ダムウェーターは、建築基準法施行令第129条の3で「物を運搬するための昇降機で、かごの水平投影面積が一平方メートル以下で、かつ、天井の高さが一・二メートル以下のもの」とされています。

そのため、水平投影面積(かごの床面積)は、1平方メートルを超えてることはできません。同様に、天井の高さは、1.2メートルを超えることはできません。

労働安全衛生法およびクレーン等安全規則に適合するものは、簡易リフトとなります。

2016年4月8日金曜日

建築基準法に基づく確認申請の区分(建築物・建築設備・工作物)について

確認申請とは、建築物(住宅、マンション、オフィスビルなど)や建築設備(昇降機など)の工事をする前に、その建築計画を役所や民間の建築確認検査機関に提出し、建築基準法関連規則に適合しているかどうかを審査することです。

具体的には、次の条文で確認申請が定められています。

■建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)
→建築物
(前略)確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。 
出典:建築基準法第六条(建築物の建築等に関する申請及び確認)

■建築基準法第87条の2(建築設備への準用)
→昇降機

■建築基準法第88条(工作物への準用)
→工作物

ここで注意していただきたいのは、上記はそれぞれ手続きが別であるという点です。

例えば、大阪府で新築住宅に小荷物専用昇降機(テーブルタイプ)の設置を検討している場合を考えてみましょう。

大阪府では、出し入れ口の下端が床面より50センチメートル以上の小荷物専用昇降機の確認申請が不要とされています。(2016年4月時点)

このように小荷物専用昇降機単独の確認申請が不要である場合でも、新築住宅の確認申請で"建築物の一部"として、小荷物専用昇降機の構造審査が行われます。

2016年4月7日木曜日

簡易リフトのガイドレールと労働安全衛生法

このページでは、簡易リフトのガイドレールの法令について解説します。

ガイドレールとは、かご(荷台)を案内するためのものです。電車のレールを思い浮かべれば理解しやすいと思います。


簡易リフトのガイドレールについては、労働安全衛生法第42条に基づく「簡易リフトの構造規格」の第一章「構造部分」の第三条「ガイドレール」で規定されています。

 第三条(ガイドレール)
  ガイドレールは、鋼製のものでなければならない。ただし、積載荷重が〇・五トン未満であつて揚程が十メートル以下の簡易リフトについては、この限りでない。
2 ガイドレールは、取付金具により昇降路に確実に取り付けられているものでなければならない。

2016年4月6日水曜日

エレベーターの定期検査は公共施設では適用除外

エレベーターおよび小荷物専用昇降機(ダムウェーター)のおおむね6ヶ月~1年ごとの定期検査は、建築基準法第12条第3項「報告、検査等(定期検査)」で定められています。

(報告、検査等)
3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
出典:建築基準法第12条第3項

ただし、「 国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。」とされています。
つまり、公共施設など、国の建物は定期検査(点検結果の報告義務)はありません。

ただし、建築基準法第12条第4項により、定期検査と同等の検査が必要とされています。

4  国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の昇降機及び国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物に限る。)の昇降機以外の建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は前項の資格を有する者に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。
出典::建築基準法第12条第4項
検査項目、検査方法および判定基準は、民間のものと同様のものと定められています。

2016年3月28日月曜日

小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の昇降路の壁・乗場の戸の材料を難燃材料以外にしてもいい条件


小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の構造は、建築基準法施行令129条の13で定められています。

そこで、「昇降路の壁または囲い」および「出し入れ口の戸」は、難燃材料(不燃材料、準不燃材料)にする必要があると規定されています。

昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸は、難燃材料で造り、又は覆うこと。ただし、地階又は3階以上の階に居室を有さない建築物に設ける小荷物専用昇降機の昇降路その他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定める小荷物専用昇降機の昇降路にあっては、この限りでない。
出典:令第129条の13
ただし、 平成12 建設省告示第1416号第3「防火上支障のないエレベーターのかご及び昇降路並びに小荷物専用昇降機の昇降路を定める件」に規定する次の要件のいずれかを満たしている場合は、難燃材料以外のものにできます。

(1)主用構造部を準耐火構造以外の構造とした建築物に設ける昇降路の場合
(2)昇降路のすべての出入口が1の階にあるもの
(3)昇降路のすべての出入口が1の吹抜きのみにあるもの
(4)階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸に設ける小荷物専用昇降機の昇降路の場合

昇降路を防火区画する必要がある場合には、令第112条第1項第二号、第9項及び第14項の規定に適合すること。

なお、難燃材料は、平成12 建設省告示第1402号で次のように規定されています。

(1)準不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間令108条の2各号に掲げる要件を満たしているもの
(2)難燃合板で厚さが5.5mm以上のもの
(3)厚さが7mm以上のせっこうボード(ボード用用紙の厚さが0.5mm以下のものに限る。)

2016年1月7日木曜日

水圧式エレベーターって知ってる?


人が乗るエレベーターには、かごをワイヤーロープで昇降させる「ロープ式」、かごを油圧で昇降させる「油圧式」などがありますが、実は、"水圧式"のエレベーターもあります。

水圧式エレベーターとは、その名の通り、かごを水圧で昇降させるエレベーターです。

油圧式エレベーターでは、作動液が"油"ですが、水圧式エレベーターは、作動液が"水"です。
※具体的には、主に"水・グリコール"が使用されています。

水圧式エレベーターのメリット

水圧式エレベーターにすることで、油圧式エレベーター特有の臭いや引火・燃焼の心配がなくなり、消防法で定める危険物に該当しないという大きなメリットがあります。

これにより、機械室や消防設備の設置が不要になります。

水圧式エレベーターのメーカー

世界で初めて水圧式エレベーターを発売したのは、アメリカの世界最大のエレベーター会社オーチス・エレベータ・カンパニーです。

ブランド名は、「SPEC ECO」です。