2019年11月22日金曜日

労働安全衛生法でのエレベーターを設置から使用する際の流れ


エレベーターの設置から使用における流れは、労働安全衛生法と建築基準法とで異なります。

この記事では、労働安全衛生法でのエレベーターを設置する際の流れを簡単に解説します。

設置から使用までの流れ


1:製造許可
2:設置届・確認済証

3:工事・試運転・調整・完成
4:落成検査・エレベーター検査済証
5:定期自主検査・保守メンテナンス
6:性能検査(年次)


解説


(1:製造許可)


積載荷重1トン以上のエレベーターを製造する場合、所轄の労働局長に製造許可を受けなければいけません。

その際は、エレベーター製造許可申請書にエレベーターの組立図および書面を添えて提出します。


(2:設置届・確認済証)


積載荷重1トン以上のエレベーターを設置する場合、エレベーター設置届に書面を添えて、所轄の労働基準監督署長に設置を届け出る必要があります。

また、下記に該当する建物の場合は、エレベーター設置届に、確認の申請書のうちエレベーターに関する部分の写しおよび、確認済証の写しを添えて提出の必要があります。

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

出典:建築基準法第六条第一項第一号~三号


(3:工事・試運転・調整・完成)


実際に設置作業をおこないます。


(4:落成検査・エレベーター検査済証)


積載荷重1トン以上のエレベーターの設置が終わると、所轄労働基準監督署長の検査を受ける必要があります。

その際は、エレベーター各部分の構造及び機能について点検や、積載荷重の1.2倍に相当する荷をのせて検査する荷重試験も行います。

落成検査を受ける場合は、エレベーター落成検査申請書を所轄労働基準監督署長に提出します。

また、上記の(2:設置届・確認済証)で確認申請書や確認済証を提出した場合は、落成検査の代わりに検査済証の写しを提出することになります。

落成検査に合格したエレベーターや、検査済証を提出したエレベーターには、エレベーター検査証が交付されます。

エレベーター検査証の有効期間は1年間です。


(5:定期自主検査・保守メンテナンス)


エレベーターを設置した場合、1月以内ごとに1回、定期に下記の項目を自主検査をする必要があります。また、その点検結果を3年間保存しなければいけません。

  •  ファイナルリミットスイッチ、非常止めその他の安全装置、ブレーキ及び制御装置の異常
  •  ワイヤーロープの損傷の有無
  •  ガイドレールの状態

保守メンテナンスをご希望の場合はこちら。


(6:性能検査(年次))


所轄の労働基準監督署長にエレベーター性能検査申請書を提出し、労働基準監督署長または、厚生労働大臣の指定する機関により検査を受けます。

検査は、エレベーターの各部分の構造及び機能について点検や、荷重試験を行い、検査に合格したエレベーターは検査証を更新することができます。


2019年11月1日金曜日

小荷物専用昇降機のインバーター制御について



小荷物専用昇降機に搭載されている”インバーター制御”は、使用を安全かつ快適にするためのお手伝いをします。


インバーター制御とは”周波数変換制御”ともいい、インバーターを用いてモーターの回転数などを連続的に切り替え制御することです。これにより、小荷物専用昇降機を安心安全に利用できます。

インバーター制御を行うことなく、突然に運転を停止してしまうと、かご内に乗せているものの状態に影響が出たり、モーターやワイヤーロープなどの寿命にも繋がります。

エレベーターのインバーター(VVVF)について


下記に、インバーター制御によるメリットをご紹介します。

料理・飲み物をこぼさず、素早く運べる

インバーター制御にすることで、「動くとき」「止まるとき」の衝撃が少なくなります。

これにより飲み物やスープを最大分速でこぼすことなく素早く運べます。なめらかな始動や停止をおこなうことで、荷物にやさしく、荷崩れの心配も少なくなります。

具体的なインバーター制御の方法として、近接スイッチを使用しています。昇降路内にある、このスイッチを経過することでインバーターに加速・減速の指示を出します。



停止位置が一定で、スムーズに荷物を取り出せる

積載荷重の量に影響を受けることなく、停止位置を一定にさせられます。(誤差±3mm)

インバーター制御することなく停止させれば、積載荷重によってかごの着床レベルが変わる可能性があります。徐々にかごを停止させるので停止位置を固定できます。

なめらかな始動や停止なので、モーター音も静か

自然な始動や停止を行うため、巻上機のモーター音も静かです。

また、リレー制御方式ではなくマイコン制御方式を採用しているため、バチッバチッという耳ざわりな作動音がなくなります。

エレベーター制御盤のリレー制御方式とは?

機械にやさしく、長く製品を使える

インバーター制御により、スムーズな電気の受け渡しを行えるので、省エネルギー化が図れます。

また、電子サーマルによる過負荷の防止や、高頻度開閉サーシによる消耗防止など、製品を長く使用していただける仕組みがあります。


2019年9月20日金曜日

小荷物専用昇降機の昇降路は、容積率に不算入となりますか?


Q:小荷物専用昇降機の昇降路は、容積率に不算入となりますか?

A:なりません。容積率の不算入はエレベーターに限られます。

小荷物専用昇降機や、工場などで使用している簡易リフトは対象外となります。


建築基準法
(容積率)
第五十二条
6 (前略)建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。
建築基準法 第五二条 6項

建築基準法施行令
(容積率の算定の基礎となる延べ面積に昇降路の部分の床面積を算入しない昇降機)
第百三十五条の十六 法第五十二条第六項の政令で定める昇降機は、エレベーターとする。
建築基準法施行令 第百三十五条の十六


建築基準法52条6項で、”政令で定める昇降機の昇降路の部分”を容積率に算入しないものとし、建築基準法施行令135条の16で、その対象をエレベーターとしています。


平成26年に建築基準法が大幅改正となりましたが、その際にこちらの法律も変更されました。


この法律改正の背景には、下記のようなことがあります。
・バリアフリーの観点から、新築・増築も含めてエレベーターの設置を促進させる

・昇降路部分が、各階同時に使用されることがなく、全階の昇降路部分を容積率に不算入としても周辺環境に与える影響は少ない


こういったことから対象はエレベーターのみとなっています。

そして小荷物専用昇降機は、バリアフリーの観点から設置等を促進する必要があるとは考えられないため、容積不算入の対象とはなりません。


こちらの記事も合わせてご覧ください。
エレベーターの昇降路の床面積を延べ面積から不算入に【建築基準法改正・容積率暖和】


2019年8月27日火曜日

「昇降機の適切な維持管理に関する指針」の変更点

平成28年2月に国土交通省が、昇降機の所有者及び管理者に向けた「昇降機の適切な維持管理に関する指針」を取りまとめました。


これは「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」に替わるものであり、日本建設設備・昇降機センターのウェブサイトでも、旧指針から新たに策定された新指針の活用をすすめる記載があります。


「昇降機の適切な維持管理に関する指針」等の策定・公表(国土交通省、平成28年2月)




旧指針から新指針の変更点として、1番わかりやすいところは点検に関しての項目です。


旧指針には、下記のように点検の頻度は”おおむね1月以内”ごとと記載があります。
第12 定期点検・整備等
1 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね 1 月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。


新指針では、この部分が”使用頻度に応じて”というような内容に変更されています。
第二章 昇降機の適切な維持管理のために所有者がなすべき事項
第1 定期的な保守・点検
1 所有者は、自ら適切に保守・点検を行う場合を除き、保守点検契約に基づき、昇降機の使用頻度等に応じて、定期的に、保守・点検を保守点検業者に行わせるものとする。


これは、旧指針が平成5年に制定されてから約30年近く経っており、昨今では遠隔監視や遠隔点検も行われているため、有人点検の頻度が流動的になっているためです。




ただ、”おおむね1月以内”から”使用頻度に応じて”と変更されると点検回数が減るのではないかという気がするかもしれませんが、大切なことは「適切な点検」を行うことです。


有人であっても遠隔であっても、きちんと点検するということ、事故を起こさないことが目的であり、専門技術者のおおむね月1以内ということも目安でしかありません。


管理している昇降機に応じて、例えば有人点検を年12回していた場合、有人点検を年6回に変更し、毎月遠隔点検するなど、保守点検業者と相談しながら点検を行っていくべきといえます。




また、新たな指針では、技術力のある保守点検業者を選び、保守点検契約に必要事項を盛り込んで、保守点検や定期検査を行うとあります。


もちろん、費用対効果も重要なポイントになりますので、それらを踏まえトータルで提案できる保守点検業者を選ぶことが大切です。


昇降機の適切な維持管理に関する指針
昇降機の適切な維持管理について(リーフレット)


2019年7月10日水曜日

エレベーター制御盤のリレー制御方式とは?




リレー制御方式とは「継電器」と呼ばれる、回路の電力の断続に伴って別の回路の接点を開閉する装置を使用した制御方式です。



昔はエレベーター制御盤で使用する制御回路に、リレー制御方式が採用されていました。

これは手作業で制御回路を構築するもので、多大な費用と労力がかかっていました。また運転のたびにバチバチと大きな機械音がなることも問題の一つでした。

それがIC(集積)回路が現れたことでマイコン制御となり、機器設定、回路設計などの労力が激減しました。



また、電磁接触器による制御方式もあります。

これは電磁石により操作される接触器で、サーマルリレーなど、電動機、電熱装置その他の主回路を入切するために使用されます。


2019年5月27日月曜日

単相100V、200Vと三相200Vの違い(弊社昇降機の場合)


電気を送る方法は、単相100V、単相200V、三相200Vの3種類あります。


一般家庭で主に用いられるのは「100V単相」です。

単相は、1種類の電気を2本の電線で送電する方法です。

一般家庭の多くの電化製品に使用する電源が100V単相です。


また単相には、100Vと200Vの電圧があり、用途によって使い分けます。

多くの場合、単相100Vが使われますが、近年では家庭用のパワフルな家電製品が増えたことで、単相200Vが選ばれることもあります。

単相200Vを使用する場合、100Vとコンセントの形状が異なるため、別途工事が必要です。


三相200Vは主に工場などで用いられ、「動力」とも呼ばれます。

三相は、周期をずらした3種類の電気を3本の電線で送電する方法です。

動力用・送電用の大きな電力で、産業用機械などの大きな機械に使用します。


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弊社の昇降機でもご紹介いたします。

弊社の小荷物専用昇降機(コンパクトタイプ)の場合は、単相200Vでご提案しています。

ご希望があれば、三相200Vでもご使用いただけるように変更可能です。


2019年5月13日月曜日

ブルーリフトの過負荷制御装置

ブルーリフトの過負荷制御装置は、モーターに異常があれば反応し、回路を遮断する安全装置です。


具体的には、ブルーリフトの制御盤にあるサーマルリレーが、モーターに過電流が流れると作動し、モーターを損傷から守ります。

サーマルリレーとは:
サーマルリレーは、回路に過大な電流が流れた際の温度上昇により、回路を遮断する装置。



例えば 「荷物がひっかかってかごが動かない」等の異常があった際、過負荷制御装置が働き、モーターに電流が流れなくなり停止します。

他にも、下記のような場合が考えられます。
・最大積載質量を超えた積載をしている状態
・動作時の異常により、電源が入ったままかごが動かない状態


また、モーターには負荷時間率として、通電時間と停止時間の1サイクルが決められています。

これらを適正に守って使用することが大切となります。


2019年2月20日水曜日

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則をご存知ですか?

この法則は、アメリカの損害保険会社で安全技師の仕事をしていたハインリッヒ氏が導き出した法則です。


「重傷」以上の災害が1件あったら、その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こり、300件もの「傷害のない事故」があるというものです。

<1対29対300の法則>ともいわれています。

ハインリッヒは、300件の「傷害のない事故」の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。




労働災害が発生する原因は、労働者の不安全行動のほか、機械や物の不安全状態(事故が発生しうる状態)があると考えられています。

不安全行動は不安全状態の9倍もあり、労働災害のうち、98%は予防可能であるともいわれています。


厚生労働省では、不安全行動の類型として以下12項目を、不安全状態として8項目を上げています。

【労働者の不安全行動】
1:防護・安全装置を無効にする
2:安全措置の不履行
3:安全な状態を放置
4:危険な状態を作る
5:機械・装置等の指定外の使用
6:運転中の機械・装置等の掃除、注油、修理、点検等
7:保護具、服装の欠陥
8:危険場所への接近
9:その他の不安全な行為
10:運転の失敗(乗物)
11:誤った動作
12:その他

【機械や物の不安全状態】
1:物自体の欠陥
2:防護措置・安全装置の欠陥
3:物の置き方、作業場所の欠陥
4:保護具・服装等の欠陥
5:作業環境の欠陥
6:部外的・自然的不安全な状態
7:作業方法の欠陥
8:その他

出典:【厚生労働省】職場の安全サイト:不安全行動


また、ハインリッヒの法則における「損害のない事故」は”ヒヤリ・ハット”とも呼ばれており、この情報をできるだけ把握し、未然に防いでいくことが必要となります。

その際には、厚生労働省が出されているヒヤリ・ハット事例が役立ちますので、一部をご紹介します。

○簡易リフトに水産食料品を積んだ手押し台車を入れ、のぞき込みながら可動ボタンを押して頭をはさまれそうになった

【業種】
水産食料品製造業

【作業の種類】
貨物用エレベーター(簡易リフト)による荷降し

【ヒヤリ・ハットの状況】
水産食料品加工済の製品パレット6枚(1枚重量約15㎏で計90㎏)を台車に積んで貨物用エレベーター(簡易リフト)に載せ、リフト内をのぞきながら運転ボタンを押したため頭部が挟まりそうになった。

【原因】
・身体を搬器に半分入ったまま操作ボタンを押した。
・安全装置(身体が簡易リフト内にあるときは、搬器、ドアが動かない)が不十分であった

【対策】
・貨物用エレベーター(簡易リフト)の安全装置の完備と定期点検(始業点検、月例、年次検査)を実施する
・重要な取扱い方法を明示し、その実施を徹底する


出典:【厚生労働省】職場の安全サイト:ヒヤリ・ハット事例

ハインリッヒの法則は、数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則として、いまでも十分に活用できる考え方です。

こうした法則や事例を活用しながら、危険を把握し、災害の防止に繋げていきたいですね。